2026年05月01日
フリーランスのウェブ制作者が注意したい生活・健康・人生のリスク
筆者は、2015年からフリーランスのウェブ制作者として働いています。
フリーランスとして働くことは、働く場所や時間を自由に選べる魅力がある一方で、会社員のような手厚いセーフティネットがないため、さまざまなリスクが伴います。
案件の減少や未払いなどの「生活(金銭)リスク」、体調不良が直接的な収入減につながる「健康リスク」、そして長期的なキャリアや老後を見据えた「人生のリスク」など、直面する課題は多岐にわたります。
本記事では、安心して長く活動を続けるために注意したいポイントを解説します。
フリーランスのウェブ制作者が直面するリスクと、主な対処法
フリーランスには様々なリスクがあり、会社員のような保護がないため、自らリスク管理を行う必要があります。
以下、フリーランスのウェブ制作者にとっての主なリスクを紹介します。
1. 生活・金銭リスク(収入・社会的信用)
収入の不安定さ
フリーランスのウェブ制作者は、会社員のような固定給がなく、プロジェクトごとの契約が基本となります。
収入が案件の受注状況に大きく左右されます。
やはり「収入の不安定さ」というリスクは、フリーランス最大のリスクであり悩みです。
案件が途切れると収入が激減してしまいます。
そもそもウェブ制作の現場は、クライアントの予算や競合との兼ね合いで単価が変動しやすいものですので、月によって収入に大きな差が生じることは珍しくありません。
このリスクに対処するために…
- 新規開拓を継続してパイプラインを確保する
- 単発案件だけでなく継続的な保守運用を取り入れるなど、複数の収入源を構築し、経営基盤を安定させる工夫をする
- 小規模企業共済やフリーランス向け保険の検討(金銭・補償)
単価交渉や「やりがい搾取」、支払いのトラブル
下請法に抵触するような不当な低単価で交渉してくる依頼主もいらっしゃいます。
時には、「勉強になる」「実績になる」という言葉を盾に、不当に安い報酬や過剰な修正対応を求められる「やりがい搾取」のリスクにもさらされます。
フリーランスは、対等な立場で単価交渉を行うことが難しく、経験が浅かったり、生活に切羽詰まっていると、ついつい請け負ってしまうケースも少なくありません。
また、報酬の未払いリスクもあります。
特に新規案件では着手金の設定や契約書の取り交わしを徹底しないと、納品後の支払い遅延や未払いトラブルに直結するため、厳格な業務管理が求められます。
このリスクに対処するために…
- 受注する際の制作価格帯は、断固として譲らない
- 口頭での契約を避け、書面やメールで条件を残す
社会的信用の低下
フリーランスは社会的信用が低く見られがちです。
特に法人(サラリーマン)と比較して、収入が不安定であると判断されやすいため、賃貸物件の契約やクレジットカードの審査、ローンなどを組む際に不利になるリスクがあります。
また、企業との取引においても、個人の制作者というだけで信頼性を担保しにくく、大きな案件の受注に影響が出ることも少なくありません。
このリスクに対処するために…
- 確定申告の実績を積む、屋号での口座開設を行うなど、長期的な信頼の積み重ねが重要
※近年では、取得のハードルがかなり低いクレジットカードや、低所得者でも入居できる賃貸物件も多いので、これらのリスクは下がっているともいえます。
福利厚生の欠如
会社員とは異なり、社会保険料の全額自己負担に加え、有給休暇や傷病手当、出産・育児・介護休業、交通費、退職金などが原則としてありません。
万が一、病気や怪我で働けなくなった場合、直ちに収入が途絶えるという事態に直面します。
このリスクに対処するために…
- 十分な生活防衛資金を貯蓄し、事前にしっかり備えておく
- 民間の保険への加入
2. 健康・メンタルリスク(長時間労働・孤独)
過労による、体調やメンタルの悪化
フリーランスのウェブ制作者は、案件の進行から顧客対応、事務作業まで一人でこなすことが多く、知らず知らずのうちに過労が蓄積しがちです。
特に納期前やトラブル発生時には、長時間労働や昼夜逆転生活になりやすく、体調不良やメンタルの不調を招くリスクがあります。
(調査によると、約1割のフリーランスが業務に起因する怪我や病気で通院経験があるそうです。)
心身のバランスを崩すと制作の品質やスピードに直結し、結果としてクライアントからの信頼を下げたり、収入の減少にもつながりかねません。
自身の健康を守ることが、事業を継続するための最大の資本であり、リスク管理の基本と言えます。
このリスクに対処するために…
- 1日あたりの作業時間や受注案件数をあらかじめ制限し、オーバーワークを防ぐ
- 定期的にリフレッシュし、オンオフの切り替えを徹底する
不規則な生活、運動不足
フリーランスのウェブ制作者は、自宅での作業時間が長く、納期前には夜通し作業をすることも珍しくないため、不規則な生活や運動不足に陥りがちです。
デスクワークが長時間続くと、血流を滞らせ、肩こりや腰痛、眼精疲労など身体的な不調を引き起こします。
さらに、生活リズムの乱れは睡眠の質を低下させ、免疫力の低下や精神的な疲労にも直結します。
健康こそが最大の資本であるフリーランスにとって、意識的な休息と適度な運動を取り入れることは、安定して制作を続けるための重要なリスク管理と言えます。
このリスクに対処するために…
- 意識的に休憩をとりいれる。
- 筋トレやストレッチ、散歩など、日常的に運動する習慣を身につける
3. 人生のリスク
廃業リスク
フリーランスのウェブ制作者が直面する大きなリスクの一つが廃業リスクです。
フリーランス全体の廃業率が高い(「10年生存率は約10〜13%程度」)ことに加え、ウェブ制作業界は技術の進化やトレンドの移り変わりが非常に激しい分野です。
技術の進化は極めて速く、数年前の常識が通用しなくなることは日常茶飯事です。
近年、AI技術の進化により、簡単なデザインやコーディングを自動生成するツールが普及し、専門知識がなくても簡易的なウェブサイトの構築が可能になったことで、従来のような「単なる作業代行」としての制作業務は需要が減少するリスクにさらされています。
変化に適応できず、単なる作業者にとどまってしまうと、AIに淘汰される立場となり、長期的な生き残りは困難となります。
ホームページ制作のスキルだけでなく、SEO対策やマーケティングの知識、さらには案件獲得のための営業力など、多角的な対応力が求められます。
このリスクに対処するために…
- 常に学び続け、提供価値をアップデートし続ける
- クライアントがただAIを利用するだけでは出せない「成果」にこだわる
結婚できない?
フリーランスは収入が不安定になりがちで、生活の基盤が見えにくいです。
私は男性ですが、女性からすると、将来の結婚や家庭を持つことに対して強い不安を抱える人が少なくないでしょう。
毎月の売上が変動する環境では、将来設計を描くことが難しく、経済的な責任を果たせるかが保証しにくいと言わざるをえません。
実際のデータで見ると、結婚しているフリーランスの割合は、令和2年国勢調査の平均と比較して同水準か、それ以上だそうです。
つまり、「フリーランスは結婚できない」というわけではないのですが…
出会いの場が少ない点も、フリーランスが結婚しにくい理由の一つですし、出会いをマッチングアプリに求めるのであれば、マッチングの時点で不安定なフリーランスが弾かれてしまうケースも少なくないでしょう。
このリスクに対処するために…
- データ的には、フリーランスであっても結婚できないわけではないので、気にしない。
- 高収入や貯蓄があれば、より結婚できる可能性は高まる
- または結婚を諦める。(私は正直そこまでしたくないです。)
老後資金の不足
「老後2,000万円問題」という言葉もありますが、フリーランスは特に老後資金の不足がリスクです。
フリーランスは、会社員のような退職金制度がなく、厚生年金ではなく国民年金が基本なので将来の年金受給額も少なくなります。
したがって、老後資金の準備を自力で行う必要があります。
特にウェブ制作においては、高齢になるに従って、老眼や体力低下の問題とも向き合わなければならないため、生涯現役が難しいかもしれないという点も踏まえて考えるべきです。
将来の生活水準を維持するには、現役時代からの計画的な資産形成が不可欠です。
このリスクに対処するために…
- 小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用した節税と積立の並行や、中長期的なインデックス投資など、複数の柱で備えておく
まとめ
フリーランスは自由度が高い一方、すべての責任は自分にあります。
様々なリスクを予見し、未然に防ぐ仕組みづくりが重要です。
記事を書いた人

杉 直樹 / ウェブ制作者
1990年2月 福岡県柳川市生。学習院大学在学時よりウェブ制作経験を積み、卒業後2014年(24歳時)から独立し、クラウドソーシングを中心に活動。300件以上の様々な制作実績を持つ。シンプルで普遍的なデザインの中規模コーポレートサイト制作業務が最も得意。格安の制作費用が売り。